三重大学みえの未来図共創機構 産学官連携推進部門

トピックス

2015.02.19

中心市街地活性化タスクフォース 第4回全体会議

平成27年2月19日(木)、津センターパレス2階公民館ホールにおいて、「津市を元気に! チャレンジプロジェクト(中心市街地活性化タスクフォース)第4回全体会議 中心市街地活性化企画 最終報告会」が開催された。

【日時・場所】
2015年2月19日(木)18:30~21:00
津センターパレス2階 公民館ホール

【参加者】
一般参加者:30名
スタッフ:8名
津市職員:3名
前葉泰幸津市長
西村訓弘三重大学地域戦略センター センター長

【事業概要と経緯説明】
 「津市を元気に!チャレンジプロジェクト中心市街地活性化タスクフォース」は津市を元気にしたいという思いをもつ仲間と共に、何をすればまちがもっと元気に住みやすくなるのかを話し合い、企画し、参加メンバー自身が実践をすることで、自分たちのまちをよりよくしていくことを目標としている。
 本日のプログラムは昨年7月から活動している3チームと、昨年度から継続的に活動している2チームの今年度の成果報告を行うもの。
 このプロジェクトは今年で3年目。1年目では中心市街地活性化オープンディスカッションを行い、様々な立場の人々が意見やアイディアを出し合って意見交換し、提言書を津市長に提出した。
 2年目では、提言書を実行する実働部隊として、有志らで4グループを編成した。成果としては、大門商店街内に親子のためのコミュニティスペース「大門いこにこ広場」の立ち上げや、学生による津市の情報誌などの企画。
 今年度は7月14日に準備会を開催し、コミュニティづくりと津市の魅力をテーマに新たに3チームを編成。
「津ぅリズム」(津市の魅力を引き出すチーム①)
「大門☆夢かなえ隊」(津市の魅力を引き出すチーム②)
「ツゥのサロン」コミュニティづくりチーム
以上の3つのチームで活動中。

今回は、今年度の締めくくりとして、前葉津市長と西村三重大学地域戦略センター長の臨席のもと、各チームの活動状況と今後の活動予定の報告を行い、意見交換が行われた。

まずは前葉津市長から、激励の挨拶があり
「このタスクフォースの取り組みはオープンディスカッションから始まりここまで来た。議論するだけではなく、実現して行くという事業である。これからも一緒に汗を流して行きたい」
その後、各チームから以下のように発表があった。

《「津ぅリズム」(津市の魅力を引き出すチーム①)》
○発表概要
企画名は「津がつながる 津ぅリズム」。目指すものは、津の各地域のことを知る機会、発信する機会、そしてつながる・ネットワークを作る機会を作るということ。メンバーは実際に2月11日に香良洲地区を訪問し、現地に行ってみないとわからないこと・得るものがたくさんあったので、こういった地域の魅力を発信する拠点の必要性を感じた。例えば「香良洲テラス」のようなものを中心市街地に作り、同じエリアに他の各地域のテラスも作り、それぞれの地域の情報交換ができる場を作っていくことを検討していくなど。今後の計画としては、津市全10地域の中から美杉地区や津観音地区を起点に実施するが、その後他の地区へも順番に地域訪問プランを検討している。
《「大門☆夢かなえ隊」(津市の魅力を引き出すチーム②)》
○発表概要
企画名は「大門再生伝説」。大門に来る人の気持ちを「再生」、大門を昔みなが憧れていたような商店街に「再生」させることを目指している。まずは昭和乙女(メンバー造語:昭和時代を乙女として楽しんだ世代のこと)をターゲットとしてイベントを開催するため準備を進めている。1月19日に模擬メイク体験会を開き、アンケートも行い、参加者は少なかったが、好評であった。2月23日に「昭和乙女のおめかしさんぽ」を実施する。キャンセル待ちが11名いるほど反響があったので二度目も開催したい。今後の計画としては、大門にボーダーレスな居場所づくりをしたいと考えており、様々な年代の方が集うことで、孤独を感じるひとを減らすことができれば良い。商店街のお店も巻き込んで行きたい。

《「ツゥのサロン」(コミュニティづくりチーム)》
○発表概要
企画名は「つながる・ひろがる ツゥのサロン」。地域でつながるまちをめざし、商店街関係者だけでなく様々なひとが商店街のイベントや運営に関わることのできる仕組みづくりを目指し活動した。今年度は津新町をフィールドにイベントを実施しサロンを開催した。サロンとは自由な立場で色々な方々が集まり、まちづくりについて意見交換を行える対話の場である。コミュニティの軸として商店街を機能させたい。来年度以降は、商店街同士はもちろん、地域の全ての人々が気軽に参加できる『対話による協働のまちづくり』「オールピープルサロン」を定期的に開催する予定で、今後は様々な地域で開催して行きたいと考えている。

《伊勢の帰りに朝日屋の松阪牛ツアー》昨年度よりの継続企画
○発表概要
観光客の誘致を目的に、2回にわたり「津アー」を実施し、78名の参加があった。マスコミ数社にも取り上げられた。アンケートの結果をふまえ、マスコミや観光業者を対象としたモニタツアーも検討している。ボランティアガイドによる街歩きや津観音訪問の感想は大変良かったが、肝心の松阪牛の食事の評価はいまいちであった。現在改良の検討中。他の地域の観光もコースに入れることを考えていきたい。

《津学生情報室 TGJ》昨年度よりの継続企画
○発表概要
現在、コアメンバー4名で活動中。実動部隊のメンバー募集を行い、構想を練り、取材や原稿執筆を行い進めてきた。これまででおよそ1,000冊を販売した。現在は次号発行のため、レイアウト案決めを行っている。また、4月から新規メンバーの募集を行って行く。来年度は今年度よりも早い時期から取材などを進めて行く予定で、自分たちでデザインを考えることを検討中。今後の展開として、「Loupe」を活用したまちあるきの実施を考えている。また、津市で行われるイベントへ参加し、レポートもして行きたい。インターネットを活用した情報発信及び、他の大学との連携も来年度は積極的に進めて行きたいと計画している。

上記のような発表を受け、前葉津市長からは以下のような講評があった。

■市長講評/今後の中心市街地活性化の取り組みについて
 中心市街地活性化にかかわる年齢層に注目しており、学生が目を向けてくれるのではないかと期待している中で、「Loupe」が出来た。
 商店街の方だけでまちづくりを考えていくのは難しい。売り手や住んでいる人だけで考えてはいけない。サロンもそうだが、様々な立場の方が関わりこの取り組みが進んできたことは実績である。
 特定の目的のために一定の予算を用意して、みなさんと協働するかたちで、進めて行きたい。目的に叶うところになるように地域戦略センターにアレンジメントしてもらいながら、継続的に行政として支援して行きたい。
 現在は、実際に実行してみて改善の余地ありという試行錯誤の段階である。今後もっと時間を使ってもらって、のびのびとこの流れで議論をし、汗を流してもらえれば。
 行政も巻き込んでもらえれば良いと考える。行政は予算を用意するだけではいけないので、一緒に進めて行きたい。

全体会の後半からは以下のように西村地域戦略センター長による進行で意見交換が行われた。

■【西村地域戦略センター長】
この取り組みに参加する学生たちが増えてきた。まちづくりに関わって行きたいと感じる若者が増えてきたということ。まちが落ち込みきっているので、ゼロから作り上げる醍醐味がある。津市の商店街がだめだというのはある一つの見方であり、インフラは整っているので新しいものが作りだせる絶好の機会だという考え方も出来る。これからやっていきたいことで課題などはあるか?

→【津ぅリズム:学生】企画を実行に移す上でどのようにしたら相互交流が促進出来るのかが難しい。また、ツアーを実施する上で交通手段の面に難しい所があるので、どうやって繋いでいけば良いのかなど。
→【西村地域戦略センター長】
解き方はいくらでもある。例えば乗り合いのための情報ネットワークづくりやバスの運行など。今年度とは異なり、来年度は年に1~2度活動報告会(各自の取り組み自慢大会)を開催しようと考えている。そこで情報交換し、協力し合えるようなことができれば良い。

■【ツゥのサロンメンバー】
津市長の話にもあったが、津市の職員がいやいやではなく積極的に参加してほしい。また、「昭和乙女のおめかしさんぽ」のタイトルがとても良い。魅力を感じる。

■【西村地域戦略センター長】
「伊勢の帰りに朝日屋の松阪牛ツアー」実施の際に、都ホテルが思いもよらない感想を参加者からもらって反省している。そういった感想が得られたことをホテルはとてもよろこんでいる。

■【津ぅリズムメンバー】
津ぅリズムのチームで香良洲に行った。正直地域の魅力などに全く期待していなかったが、とても充実した一日となり、翌日でも余韻に浸っていたほど。テラスを中心市街地に持って来られたら良いと話していたが、香良洲の人も中心市街地で物を売りたい、情報発信したいという気持ちがあった。行ってみてわかることがある。
→【西村地域戦略センター長】
やってみて気づくこと、ということが大切。自信になってくる。当初は津市を外の人に知ってもらうことを意識していたところもあったが、もうひとつ、意外と津市の人が津市の中を知らないということもわかってきた。地域内を繋げることはすごい効果を生む可能性がある。例えば、鳥羽市では、地域で獲れる魚はほとんど鳥羽で買えず、中央(都市圏)で売っている。中央での値下がりのあとでもそのまま習慣として販売ルートが変わらず、地域で買う方法がない。なので、鳥羽市では鳥羽マルシェを作った。住んでいる街を自分たちが一番知らないというのが今なのかもしれない。まちのなかを繋げることは意義がある。こういうことを続けていく場が必要。そういう意味で、大門再生伝説のチームの企画は印象的だった。1ヶ月にわたってメニューを組んで行って、場を作って、気楽にいつでも使える場を持つのは重要。津新町にも飛び火させないか? 3月は、街の駅だいもん、4月は津新町、など各商店街持ち回りで開催できたら良い。こういった情報をTGJが発信するなど、チームごとで連携して取り組んでいくとなお良い。繋がるには点が必要。点となる人々は点としてのアイデンティティを持たなければならない。そのアイデンティティを持った点を繋げていければ。

■【鈴鹿市教員】
ネットで情報を得て参加した。キャリア教育をしていきたいと考えて悩んでいて、この会に参加した。こどもたちに住んでいる地域のことを知ってもらうことが大切だと感じた。外に行ってもまた鈴鹿に戻ってきて活躍してほしい。学校にもこのタスクフォースの取り組みを伝えたい。
→【西村地域戦略センター長】
世代間の繋がりがなくなってきている。各世代がお互いを知らなかったからこそあった断絶が、知ることでなくなる。「このまちを繋ぎ直すんだ」と地域のみなが感じることが出来れば。例えば、生徒さんを連れてこういった活動に参加してもらえれば。みなさんで今後の在り方でご意見などあれば反映させたいと考えている。

■【商店街関係者(大門)】
伊勢の帰りに朝日屋の松阪牛ツアー企画メンバー代表と、大門☆夢かなえ隊代表が大門商店街の総会に来て取り組みの紹介をしてくれた。その後で商店街の人間で話していたのだが、中の自分たちがもっとがんばらなければいけないという話になった。この取り組みに参加している大門の人は少ない。「がんばる商店街応援隊」という、申し込むとボランティアの方が手伝いに来てくれる事業があったが、商店街では人手不足になりがちなので、商店街の人と外の人とが相携えて取り組んで行くことができたら嬉しい。
→【西村地域戦略センター長】
アンテナショップやサロンを開催するときには商店街の人も巻き込んで行くべき。商店街の人に出てきてもらうにはどうしたら良いのか考えて行かなければならない。ツアーのアンケートで、買い物したいと回答した人が8割だった。知れば買いたくなるものが商店街にはある。「Loupe」ができたことで多少とも商店街を訪れる人が増えたと思う。今後はこのような実績を持って商店街の人と交流できることができる。商店街という現場に入って行く時期に来た。現場に入ることをどう感じたか?
→【ツゥのサロンメンバー】
商店街の方と一緒に取り組んで行くときにはじめにしたことは思いを重ねるということだった。こちらから心を開いて思いを寄せるという手法で行った。そのことによって、部外者であった私たちに対して心を開いて話してくれるようになった。年齢は関係なく、対等な立場で相手を尊重して、今あるものをどう利用するのか考えて行くことが良いだろう。みなで学びながら進めていければ。来年度以降は全体会議のようなものが2回程度になるかもしれないということなので、情報の共有が必要となってくる。津市に協力いただいてインターネットなどの掲示板として未来を語る場をつくりたい。この場にいない人も参加できるような形にして間口を広げて、そこから今まで興味の無かったかたも参加できるようなことになれば、横のつながりをもっと強化できるだろう。誰でもいつでもアクセスできる大きな間口が必要。

→【西村地域戦略センター長】
2層でやっていったらどうか。クラウド的に話し合う場をネット上におき、いつでもアクセスできるようにすることで横を繋ぐこともそうだが、実際に現場で動いている人を繋ぐことも大切。そのためのコーディネータ2名による連携を来年度は予定している。その2名をまとめあげていく役割として地域戦略センターを位置づけた体制を検討している。
新しい人たちを、まちの中で自分たちで生み出し、まちを再生さなければならない。商店主がつくる次の商店主のような取り組みをサロンの延長線上でやってほしい。

■【西村地域戦略センター長】
・この事業でオープンディスカッションを実施したが、思いをさらけだすという大きな意味があった。典型的だったのは久居でのオープンディスカッションで、ポルタ久居どうするんだと睨みつけた参加者がいたのに対し、若者が利用法について希望を語り、婦人方は若者たちの声の方がおもしろいわと反応した。声の大きい人たちだけで動いていたから行き詰まっていたところがあったが、そこにみんなの声を入れて総合和でそこからもう一度作ることができる。新しいものができる時期に来た。疲弊して底を打ったら、違う角度で上がっていくのでそこからは新しいものが作れる時期に来た。しがらみとかもわかってきて、そこから動いてきたものが「大門いこにこ広場」や「TGJ」だった。本音で話し、ぶつけ合うことが実現できた。
・タスクフォースでも昨年度は具体的には行動にはあまり移せなかったが、今年度は実際にやってみて、自分たちの体感として得て、底を打ってからの登り方、登る方向性が見えてきた。今後は、山の部分で坂を登ってほしい。サロンとしてまちの中に入り込んで、市民として核を作って動かし始め、様々なチームがそれぞれの思いで活動し、チームが繋がり、まちの中でムーブメントになって登っていく。こうして、この時代に対しての登り方をやっていったら良いのではないかと考えている。

■【商店街関係者(大門)】
我々も次世代のメンバーを12名ほど集めている。これからまちを背負っていく若者を集めるのにすごく苦労している。商店主の息子たちは外に行ってしまう。中々若い人を商店街で捕まえるのは難しい。現在は店売りが弱いのでよそでお金を得て来ている傾向が強い。ある方から大門でスペースを借りたいと言われた。近々、月に7,500円くらいの家賃で、街の駅だいもんの入り口のガラス張りの部分の貸し出しを告知していく予定。
→【西村地域戦略センター長】
非常に良い話で、店舗を借りたいという若者に貸していくべきだと思う。そして無料ではだめで、商売なのでそこは多少でもお金を取り厳しくやっていくべきである。自分は商店街で商店主を作る塾を開催しようと考えている。また、ゆるやかなトライアルの出来る場を作るような企画を考える大門☆夢かなえ隊のようなメンバーや、本気で商売したい人など、様々な人が様々な商店街で場を持てるように、活動を支えて行くことも大切。ある面で優しく、ある面で厳しくしていくのが良いだろう。そういうものも来年度取り組んでいきたいと思うが、商店街としてどう思うか?
→【商店街関係者(津新町)】
自分たちの考えだけではできなかった。サロンチームの方が集まっていただいて、ぶっちゃけて言う話、ダメメンができたのは飲んだ勢いもあり、やってみようかという話になった。今後は地域の自治会の方も参加していただいて、何らかの参加意識を作ってもらいたい。また、住んでいる場所は違っても日中店があるこの新町の防災についても今後強化して行きたい。新町では飲み屋は増えているが、物販の店舗はすくない。そういった意味でこれからだと考えており、若い人の意見も今後取り入れて行きたいと考えている。

■【津ぅリズムメンバー】
津ぅリズムチームの話だが、繋がるということで、他のチームの人も参加してほしい。これから他の地域も見に行こうと考えており、地域戦略センターの事務局から案内してもらってつながりを作ってもらえたら嬉しい。
→【TGJ津学生情報室メンバー】
津ぅリズムの話を聞いて、今の話が出る前からメンバー以外も参加出来る機会があればぜひ参加したいと考えていた。今「Loupe」で取り上げているのは大学付近だが、広い意味でとらえた津を知りたいのでぜひそういう機会があれば応募したい。タスクフォースに来るのが私だけで、周りのメンバーとみなさんとの繋がりが出来ていない。津市で活動しているなら津市の人たちと繋がる機会がほしいので、今後一緒に取り組んでいきたい。

■【津ぅリズムメンバー】
現在チームごとで情報発信しているが、今後は全ての人に連絡が行くように参加者の連絡先をオープンにしないか。また、本日初めて参加した方もぜひ連絡先を受付に残して行っていただきたい。津市の職員の方もぜひ。

全体会の最後に、西村地域戦略センター長より、以下のように総括の言葉があった。
自分たちで行動するというかすかな動きを作ったのが今回のタスクフォースである。手ごたえを感じ始めて、色々なことがわかり、自信が出来てきた。巻き込まれてゆくというのは、まちの人の責任でもある。自分たちが自分たちのまちをどうしていくのか考えて活動していく。この一歩一歩の集合和がこのまちの良さになる。学生の立場から商店街に関われるくらい壁がなくなってきており、この好条件を使うか使わないかが市民の判断にかかっている。一歩目として動くタスクフォースという塊が今回出来たと考えている。確実に階段を上っていくようにみなで上がって行って、その渦の中に知らず知らず人が集まってきて、巻き込まれて、美杉だとか他の地域でサロンが出来たりして、そこでは中学生や行政など様々な立場の人が参加しているということがこれから起こって行けば意義がある。来年度はそんなことをしていきたい。

以上