三重大学みえの未来図共創機構 産学官連携推進部門

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2013.06.12

無声映画鑑賞会

6月8日(土)、アスト津で行われたRASCも共催になっている、『弁士・澤登翠さんによる「無声映画鑑賞会」』に参加してきました。子ども時代を三重県松阪市で過ごした映画監督の小津安二郎さんは今年が生誕110年にあたるそうで、三重県内でも各種記念事業が企画されています。

会場は超満員。開催のあいさつで、無声映画が上映されていたころの津の様子や、昔あった映画館の名前などがでてくると、みなさん一応に「あー。」と声をあげ、懐かしく思い出されているようでした。

最初の映画は「大学は出たけれど」と言う作品で、上映時間16分という短いフィルムですが完全に無音。音楽くらいは流れるのだろうと思っていたので、映像だけの映画に最初は戸惑いました。それに、ところどころ字幕がでるのですが、ぱっと出てすぐに消えてしまうのでほぼ読み切れず、結局想像で理解する感じになりました。昔の人の動体視力は相当だったのかもしれません。

2本目の映画は弁士・澤登翠さんの語り入りで、「出来ごころ」という上映時間101分の大作をみせていただきました。家族物の映画は現在でも右に出るものはいないといわれるほどの小津映画。この作品も友情、恋心、親子愛、いろんな感情が盛りだくさんでありがなら、当時の厳しい現状をもコミカルに描いた、101分を飽きさせないものでした。初めは弁士さんの語りに慣れず、どう鑑賞すればよいのかと頭で考えてしまいましたが、途中からは弁士さんの声色をかえてセリフを言う巧みな語り口調にすっかり映画に入り込んでいました。

2本見終わって、「無声映画良い!」と思いました。特に弁士さんの語りが入ると最高です。声色を変える技術があってこそなのだと思いますが、普通の発声映画よりも気軽さや温か味があり、視聴者側にもみんなで鑑賞しているという一体感が感じられました。